隣の住人。
17-
謙人と女の人が話している間に、少しずつ人数が増えていった。
謙人を見るたびに、
「久しぶりね」と声をかけてくる無神経さ。
謙人、あの頃は辛かったかもしれないけどこの人たちから離れて正解だよ。
非常識すぎて、同じ人間なの?と思った。
イライラしすぎてて、態度に隠せなかったらしい。
謙人に伝わっていたみたいで手を引かれ、謙人の一歩後ろに下がった。
「俺の前から消えてもらってもいいですか?それと、もう2度と両親のお墓に来ないでください。」
「何でそういう事を?」
「自分達がやったことは覚えてますか?何で、俺が施設で暮らしていた事を一から伝えた方がいいですか?」
「あの時、急にいなくなって驚いたのよ」
「俺が謝った方がいいですか?」
「今更謝らなくていいわ」
「もうあなた達に会う気もないし、和解するつもりもないです。ただ、親が亡くなった数ヶ月間、家に置いてくれた事は感謝してます。ありがとうございました」
と、
言い残して、親戚の前から消えて両親のお墓へ向かっているみたいだった。
手は繋いでくれてたけど、何も言葉を発することなくただただ歩いていた。
今の謙人に話しかける事は出来なかった。
さすがの私も、空気を読んだ。
少しでもいいから、謙人の支えになってくれていたら嬉しいな。