隣の住人。




謙人は、ママとパパの命日だったからバイトをお休みしていたみたい。



ズルい…

早く言ってくれれば私もお休みにしてたのに。



私は、バイトだったから3時すぎに起きてスマホをいじりながら布団でゴロゴロしていた。





「起きてる?ひな」

『起きてるよ、どうした?』


と、

謙人の事を見るとなぜか涙目だった。




目いっぱいに涙を浮かべて、少しでも瞬きをしたら涙が溢れてしまいそうだった。




『謙人、たくさん泣いていいんだよ』


と、

抱きしめると背中を震わせていた。






「父ちゃんと母ちゃんに会いたい」

『空から見守ってくれてるよ』

「だよな」

『全部、見られてたら恥ずかしいね』





抱きしめながら、私まで泣いてしまった。

むしろ、私の方が泣いていたかもしれない。




謙人の過去を話してくれた時はあんなに笑っていたのに…両親の事で涙を流す謙人を初めて見たから、何だか考え深かった。





謙人も、

色々考える事があったのかもしれない。



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