隣の住人。





「父ちゃんも母ちゃんも泣かせに来てるのかな」


と、

目に涙をいっぱい溜めて笑っていた謙人。




謙人の感情が崩壊しかかってる。

泣きながら笑うなんて心配になるレベル。




でも、少しだけ落ち着いたみたいで安心した。




『辛い時は辛いって言わないとダメだよ』

「何かしてくれる?」

『ぎゅってしてあげる』

「ありがとう」





そう言った謙人は優しくキスしてくれた。

謙人が辛い時は、支えられる彼女になりたい。



いつも支えられいる分、頑張ります。





「毎年この日はこうなるから誰にも会わないようにしてたけど…こんなボロボロな自分を初めて人に見せた気がする」

『ママとパパが大好きなんだね』

「色々思い出すよね」

『たくさん話して』

「ひなが凄く逞しく見える」

『そう?』

「ひなに出会えて良かったよ」





私も、そう思うよ。

謙人に出会えて、今は一切後悔していない。



むしろ、出会えた事に感謝したい。

私が上京をしたのは間違いではなかったみたいだ。





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