骨の髄まで愛したい
*

──最近雨ばっかりだ。
授業中、窓からどんよりとした暗い空を見上げる。

雨の日は嫌いだ。
いつも寂しい家が、雨の日だと一層寂しさを増す。

 美咲の心が晴れないのは、天気のせいだけではなかった。1つ気がかりなことがあるのだ。

 それは、父が最近家に帰ってないということ。

今まではどんなに夜遅くても、必ず帰宅はしていた。朝、私が起きるときには、すでに父は出勤しており、常にすれ違いの生活を送っていたが、それでも、台所を使った形跡から、家に帰っていることは分かっていた。

 でも最近はそれがない。

 まるで本当に1人暮らしをしているかのようだ。

(まあ、お父さんがどこに泊まっていようが私には関係ないか)


重苦しい雨の音に包まれながら、美咲は深い溜息をついた。
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