すずくんが課題です
宿題は神様?
君と出会ってから3ヶ月。


でも関係はあまりよろしくない、けっして。




「ねぇすずくん」

「なに」

「なんでキスしようとすると避けるの?! ねぇなんでなんで!」

「暑苦しいからだよ」



廊下のど真ん中で泣く私。


すずくんこと鈴南真魚斗(すずなまなと)は、私とお付き合い中のひとつ上の先輩。猛アタックしたらしぶしぶといった感じだったけど、一応オッケーしてくれたわけでして。



でも冷たい。

全然打ち解けてくれない。


「なあすずちゃん」

「すずちゃん呼ぶな」


いいないいな。いお先輩は同じクラスのすずくんの気のしれた友人で、いつもつるんでいる。離れていくすずくんといお先輩の背中を見て、また大泣き。


心配した他の先輩方になぐさめられながら、親切なことに教室まで送り届けられる。



私もすずくんに送り届けられたいよおぉぉ。


でもすずくんはぜんぜん、興味なし。



教室につく頃にはミイラ化。席で干からびている私を親友の舞が呆れ顔で見ている。


「すずくんに穴があくほど見つめられたい」

「いや知らんし」

「それよりあんた宿題やったの?今週中に提出だよ」

「宿題……なにそれ?おいしいの?」

「おいしくねぇよ。好きなものを調べてレポートにまとめんだよ」

「好きなもの……レポート……うふふ」

「こわいんですけど」


宿題が愛のキューピッドとして頭に降臨。こんなにも宿題に感謝したことが今までにあっただろうか、今日は徹夜だ。きっとすずくん驚くぞ〜とひとりニヤニヤ祭りである。
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