2章・めざせ転移門~異世界令嬢は神隠しに会う。
それは幸之丞珊瑚
海辺にあるという
英雄が長のギルドは
マイケルの予想以上に
建物が大きく、
地中海らしい白壁と
明るい屋根が
海空に映えている。
「この島だけじゃないぞ!
まわりの国ん海、ぜーんぶ
『統べるギルド』だって!
すごいだろ!!海じゃいちばん
で、ラジさんはかっこいいぞ」
マモが道すがら
マイケルに教えていた為
多少
理解していたが、ギルドは
それでも圧巻の建物だった。
周りはふっつーに
地中海リゾートアイランド
だけどねっ!!
「巡礼しゃ、マイケーさん
あそ!あそこ!ラジさんギルド」
トタトタと海沿いの道を
ちっちゃいヤオが、
クリンクリン巻き毛を揺らして
先頭を歩く。
後ろにマモが マイケルの
獲物?を担いでいる。
マイケルは、金剛杖に遍路笠を
籠に引っかけて、
続いて並ぶ。
「ヤオ!転ぶぞ!」
ヤオは
少し歩く度に、何が嬉しいのか
マイケルに振り返り
振り返り、
ニカッと 掛けた前歯で笑う。
「ヤオ!ちゃんと着いていくから
転ばないように、前見てね。」
ヤオ、クリクリのトテトテが
可愛いー!
マモも、お兄さんぶってるのが
また愛いやつだよー。
「マモ、ありがとうね。持って
もらって、悪いね。助かった」
マイケルはマモの肩を
指差して、ご機嫌に礼を言う。
「いいよ!どうせ、もぐれない
から。それにさ、
巡礼しゃマイケーには、アンバ
ーもらったから。安いって!」
マモは、
気になっていたように
マイケルに、
自分の肩のモノを顎でしゃくる。
「なあ、ほんとにコレもってく
の?、笠のも、ぜってー、
骨だぜ。ひとの骨なんか
ゴロゴロしてるから、
ウーリになんねーぜ。この
きたない枝も、ほそいから
薪にもなんないし、へんだな」
口を尖らせる。
「まあ、いいのよ。どれぐらいの
ウーリになるか、試したいし」
マモの愚痴を気にもせず、
ねっ!っとマイケルが
マモに
ウインクをした。
マモはそんなマイケルに
キョトンとして、顔を赤くする。
「マイケーさん!はいる!」
ヤオが慣れた足どりで、
観音開きに放たれた
背の高い木製ドアに入っていく。
入れば、
高い天井にクラシカルウッドの
マリーナ内装。
いくつも
トルコランプみたいな照明が
下がって、真ん中には
アンティークな円柱の水槽が
珍しく生き物を
美しく見せている。
それでいて
大きなスチームパンクな銀行
みたいだ。
「うあーー。ゲームみたいだね。
ギルドって感じー。凄いね!」
マイケルが思わず
声をあげる。
そんな声さえも
かき消えるぐらいギルドは
巡礼スタイルの人々。
ちょうどハントから帰った
でだろういかにも冒険者。
職人みたいな集団に、
商人や漁師、魔法使い?
西洋の船乗りがと、
活気に溢れていた。
「ウォール街と同じ薫いがする」
物流、産業、金融。
ギルドは マイケルが見ても
賑わっていた。
「さき、登録だよ、こっち!」
マモが、小さいヤオの手を
繋いで
端にあるカウンターで
マイケルに手を振る。
巡礼者は後払いでギルドに登録
出来ると言われて、
マイケルは直ぐに登録をした。
そのかわり10ウーリを払わないと
ギルドにある巡礼者ベッドには
寝れない。
それでも、この島のギルドは
どこも
巡礼者を広く迎えていると、
小麦色に日焼けした
カウンター嬢に説明されて、
それには
マイケルは感心した。
「本当、今日は野宿だろって
思ってたから。謝謝だよー。」
ニンマリと笑ってマイケルは
ヤオとマモの頭をワシャっと
撫でる。
「わ!って、マイケー。ウーリ
ないのにどーすんだよ!」
ヤオは、もふもふと
マイケルに
撫でられているが、
マモはマイケルを下から睨む。
「この獲物達を、ウーリにするよ
お姉さん!見てくれるかな?」
小麦色カウンター嬢は、
「鑑定は、あちら~☆」
水槽の向こう側のカウンターを
示した。
アンティークな水槽の周りを
螺旋階段が取り巻き、
まるで水槽を囲む様に、
円形にカウンターが取り巻く。
ちょうど登録カウンターの
反対側が鑑定のブースだと
小麦色嬢が案内するのを
マモが、
「ほんとに、骨、だすんだな!」
と、マイケルとヤオの手を
引っ張った。
「大丈夫よー。そりゃ、
どれぐらいのウーリになるか
わかんないけどさ!ほら、」
マイケルがマモに教えたのは
真ん中の水槽の中。
「生えてる生木は 初めてだわ」
マイケルが呟いた視線の先には
水槽底に
目も覚めるかの、
鮮やかな
血管の如く揺れる
何本かの赤木。
「しかも、オックスブラッド。
『トサ』並みの生木、、」
マイケルが爛々とした目を
水槽に向けていると、
ブースに1人、双眼鏡みたいな
眼鏡を頭に乗せた男が
「いらっしゃいませ巡礼者さま。
本日の鑑定品は、どちらで?」
マイケル達に声をかけて来た。
マイケルは、金剛杖に
ひっかけた遍路笠の中を
ブースデスクにひっくり返す。
「まずは、これを視てよ。
デッド・ツリー・コーラル。
白珊瑚の枯れ木。扱ってる?」
バラバラと出したのは、
マモがさっきから骨だと、
文句を言う白い棒の代物。
でも、マイケルは自信がある。
「デッドツリーコーラル?なんだ
そんなもの聞いた事がない。
そもそも、コーラルに白が
あるのか?デッドって、
死んでるのか?コーラルは
あれを見ろよ!海に生えた
キレイな赤い木なんだよ。
これは、
コーラルじゃないね!
はい、次、次出してくれよ。」
ところがマイケルの意に反して
双眼鏡眼鏡を 掛ける事なく、
男は水槽の赤木を示して
出した『枯れ木の白珊瑚』を
端に寄せた。
「はあ?!コーラル扱ってて、
何言ってんのよ?あんたの頭は
何がつまってんの!これじゃあ
次の獲物の価値なんて、
とうてい 解わんないわね!何が
海1番のギルドよ!こんなとこ
こっちから願い下げよ!それと
も何?コーラルは観賞物なの?
研磨して、ジュエリーにして
ないの?なら、
あたしが教えてやろうか?!」
このタコが!!
マイケルは、デスクをバンッと
叩いて大声を張り上げる!
とたんにギルド内は
水を打った様に静かになった!
「こちとら華人の女よ!
子供にみえるからってね、
舐めてもらっちゃ、こまるわ!
どうなのよ!ここじゃコーラル
はジュエリーにしてないの?」
烈火に 捲し立てるマイケルに
双眼鏡眼鏡の男は、呆気に
とられながら
「いや、あんた、そりゃ、
コーラルは水槽で飼えるし
宝石に加工もできるが、白?
死んでるだろ?そんなもん
只の石ころ。これだって、
海神殿の人骨じゃないか?」
端に寄せたモノを
男が示すと、
隣のブースにいてた客が、
「深い海ん中に、潜水能力使って
潜るだろ、発光魔力で灯すと
真っ暗な中に、真っ赤な林が
出てくるんよ
それがレッドコーラルでな。
それを下の岩ごと採ってくる。
硬いからな。切れない。
そりゃ、深海だぞ。場所も秘密
にしとるよ、みんな。白だ?、
そんなのいるのかねぇ。」
ヒョイと顔を出してマイケルに
教えてくれる。
気がつけば、マイケルのブースに
何人かやってきて、
そのうちの1人、
片眼鏡に、髭の男が
「コーラルは、そりゃな観賞だけ
じゃねえよ。磨くとな、極上な
玉にもなる。このウーリュウ藩
島の、アンバー、パールに並ぶ
3大特産のジュエリーだぜぇ。
しかしよぉ、こんな骨みたい
なのがコーラルなのかぁ?
それこそ、お前さんの言う、
枯れ木じゃないのかねぇ。」
デスクから、1つ手に取って
くるくると見定める。
それを突然、
後ろから
獅子の鬣が 雄々しい
燃蒼色した瞳の
益荒男が取り上げた。
「初見の客、巡礼者か。
いい面構えだ。持ってきた物
全て出せ。レサ、これは白色
だが間違いない、コーラルだ。
コーラルが枯死したモノだと
俺の慧眼が言っている。」
手のモノを 強く擦りながら、
誰かの名前を呼び上げる。
「あなたが、ここの長?
ちゃんとみる目あるの?」
マイケルは、腕組みをして
ギルドの長ラジの燃蒼色した瞳を
見据える。
「案ずるな、俺の眼は絶対鑑定を
備えている。お前、コーラルを
知っているんだな?そっちの
小僧、マモか。担いでる枝も、
コーラルの枯死したものだろ」
ラジが呼んだ男は、おどおど
しながらラジの横に来る。
「マサバ、この白いやつを、
レッドコーラルみたいに研磨
しろ。この形のままでいいぞ」
ラジが一本白い小枝をマサバに
渡す。
マサバは目を閉じて、
それを手で包むと
上から下へと、撫でた。
マサバの手元が ほんのり光
収まると、手のモノを
ラジ達に見せる。
「おっ!!象牙みたいになった!
うおい。このテカリ、コーラル
だなあ!確かだぞ、おいラジ」
片眼鏡に髭の男レサが、
マサバの背中を
バンバン叩いて
デスクのモノを全部マサバに
同じようにさせる。
マイケルも、その工程に驚いた。
「え!!そんな簡単に
研磨しちゃうの?何、魔法?」
ヤバいな、異世界!!
ただ、目の前には
割にテロッと艶が出るモノ以外、
スがはいったような
スポンジ状に艶になる
モノもある。
「これは、レッドコーラルと
随分違ってムラがあるな。
枯死しているからか?女よ。」
ラジは燃蒼色した瞳を
マイケルに向けて
真意を問うように
スポンジ状に艶になったモノを
掲げた。
「生木と違って枯死したコーラル
が、土に落ちる間に、虫が食う
と中がスポンジになるけど、
それはそれで、レースコーラル
として、造形美になるの。」
それに、これが切り札じゃない
「白い珊瑚はあるの。他にも」
白珊瑚。
コラリウム・コーノジョイ。
日の本の昔、珊瑚網を
考え出した『トサ』の漁師、
幸之丞の名前がついた
ホワイトコーラル。
その枯れ木はまだ、前菜
なんだよ!!
英雄が長のギルドは
マイケルの予想以上に
建物が大きく、
地中海らしい白壁と
明るい屋根が
海空に映えている。
「この島だけじゃないぞ!
まわりの国ん海、ぜーんぶ
『統べるギルド』だって!
すごいだろ!!海じゃいちばん
で、ラジさんはかっこいいぞ」
マモが道すがら
マイケルに教えていた為
多少
理解していたが、ギルドは
それでも圧巻の建物だった。
周りはふっつーに
地中海リゾートアイランド
だけどねっ!!
「巡礼しゃ、マイケーさん
あそ!あそこ!ラジさんギルド」
トタトタと海沿いの道を
ちっちゃいヤオが、
クリンクリン巻き毛を揺らして
先頭を歩く。
後ろにマモが マイケルの
獲物?を担いでいる。
マイケルは、金剛杖に遍路笠を
籠に引っかけて、
続いて並ぶ。
「ヤオ!転ぶぞ!」
ヤオは
少し歩く度に、何が嬉しいのか
マイケルに振り返り
振り返り、
ニカッと 掛けた前歯で笑う。
「ヤオ!ちゃんと着いていくから
転ばないように、前見てね。」
ヤオ、クリクリのトテトテが
可愛いー!
マモも、お兄さんぶってるのが
また愛いやつだよー。
「マモ、ありがとうね。持って
もらって、悪いね。助かった」
マイケルはマモの肩を
指差して、ご機嫌に礼を言う。
「いいよ!どうせ、もぐれない
から。それにさ、
巡礼しゃマイケーには、アンバ
ーもらったから。安いって!」
マモは、
気になっていたように
マイケルに、
自分の肩のモノを顎でしゃくる。
「なあ、ほんとにコレもってく
の?、笠のも、ぜってー、
骨だぜ。ひとの骨なんか
ゴロゴロしてるから、
ウーリになんねーぜ。この
きたない枝も、ほそいから
薪にもなんないし、へんだな」
口を尖らせる。
「まあ、いいのよ。どれぐらいの
ウーリになるか、試したいし」
マモの愚痴を気にもせず、
ねっ!っとマイケルが
マモに
ウインクをした。
マモはそんなマイケルに
キョトンとして、顔を赤くする。
「マイケーさん!はいる!」
ヤオが慣れた足どりで、
観音開きに放たれた
背の高い木製ドアに入っていく。
入れば、
高い天井にクラシカルウッドの
マリーナ内装。
いくつも
トルコランプみたいな照明が
下がって、真ん中には
アンティークな円柱の水槽が
珍しく生き物を
美しく見せている。
それでいて
大きなスチームパンクな銀行
みたいだ。
「うあーー。ゲームみたいだね。
ギルドって感じー。凄いね!」
マイケルが思わず
声をあげる。
そんな声さえも
かき消えるぐらいギルドは
巡礼スタイルの人々。
ちょうどハントから帰った
でだろういかにも冒険者。
職人みたいな集団に、
商人や漁師、魔法使い?
西洋の船乗りがと、
活気に溢れていた。
「ウォール街と同じ薫いがする」
物流、産業、金融。
ギルドは マイケルが見ても
賑わっていた。
「さき、登録だよ、こっち!」
マモが、小さいヤオの手を
繋いで
端にあるカウンターで
マイケルに手を振る。
巡礼者は後払いでギルドに登録
出来ると言われて、
マイケルは直ぐに登録をした。
そのかわり10ウーリを払わないと
ギルドにある巡礼者ベッドには
寝れない。
それでも、この島のギルドは
どこも
巡礼者を広く迎えていると、
小麦色に日焼けした
カウンター嬢に説明されて、
それには
マイケルは感心した。
「本当、今日は野宿だろって
思ってたから。謝謝だよー。」
ニンマリと笑ってマイケルは
ヤオとマモの頭をワシャっと
撫でる。
「わ!って、マイケー。ウーリ
ないのにどーすんだよ!」
ヤオは、もふもふと
マイケルに
撫でられているが、
マモはマイケルを下から睨む。
「この獲物達を、ウーリにするよ
お姉さん!見てくれるかな?」
小麦色カウンター嬢は、
「鑑定は、あちら~☆」
水槽の向こう側のカウンターを
示した。
アンティークな水槽の周りを
螺旋階段が取り巻き、
まるで水槽を囲む様に、
円形にカウンターが取り巻く。
ちょうど登録カウンターの
反対側が鑑定のブースだと
小麦色嬢が案内するのを
マモが、
「ほんとに、骨、だすんだな!」
と、マイケルとヤオの手を
引っ張った。
「大丈夫よー。そりゃ、
どれぐらいのウーリになるか
わかんないけどさ!ほら、」
マイケルがマモに教えたのは
真ん中の水槽の中。
「生えてる生木は 初めてだわ」
マイケルが呟いた視線の先には
水槽底に
目も覚めるかの、
鮮やかな
血管の如く揺れる
何本かの赤木。
「しかも、オックスブラッド。
『トサ』並みの生木、、」
マイケルが爛々とした目を
水槽に向けていると、
ブースに1人、双眼鏡みたいな
眼鏡を頭に乗せた男が
「いらっしゃいませ巡礼者さま。
本日の鑑定品は、どちらで?」
マイケル達に声をかけて来た。
マイケルは、金剛杖に
ひっかけた遍路笠の中を
ブースデスクにひっくり返す。
「まずは、これを視てよ。
デッド・ツリー・コーラル。
白珊瑚の枯れ木。扱ってる?」
バラバラと出したのは、
マモがさっきから骨だと、
文句を言う白い棒の代物。
でも、マイケルは自信がある。
「デッドツリーコーラル?なんだ
そんなもの聞いた事がない。
そもそも、コーラルに白が
あるのか?デッドって、
死んでるのか?コーラルは
あれを見ろよ!海に生えた
キレイな赤い木なんだよ。
これは、
コーラルじゃないね!
はい、次、次出してくれよ。」
ところがマイケルの意に反して
双眼鏡眼鏡を 掛ける事なく、
男は水槽の赤木を示して
出した『枯れ木の白珊瑚』を
端に寄せた。
「はあ?!コーラル扱ってて、
何言ってんのよ?あんたの頭は
何がつまってんの!これじゃあ
次の獲物の価値なんて、
とうてい 解わんないわね!何が
海1番のギルドよ!こんなとこ
こっちから願い下げよ!それと
も何?コーラルは観賞物なの?
研磨して、ジュエリーにして
ないの?なら、
あたしが教えてやろうか?!」
このタコが!!
マイケルは、デスクをバンッと
叩いて大声を張り上げる!
とたんにギルド内は
水を打った様に静かになった!
「こちとら華人の女よ!
子供にみえるからってね、
舐めてもらっちゃ、こまるわ!
どうなのよ!ここじゃコーラル
はジュエリーにしてないの?」
烈火に 捲し立てるマイケルに
双眼鏡眼鏡の男は、呆気に
とられながら
「いや、あんた、そりゃ、
コーラルは水槽で飼えるし
宝石に加工もできるが、白?
死んでるだろ?そんなもん
只の石ころ。これだって、
海神殿の人骨じゃないか?」
端に寄せたモノを
男が示すと、
隣のブースにいてた客が、
「深い海ん中に、潜水能力使って
潜るだろ、発光魔力で灯すと
真っ暗な中に、真っ赤な林が
出てくるんよ
それがレッドコーラルでな。
それを下の岩ごと採ってくる。
硬いからな。切れない。
そりゃ、深海だぞ。場所も秘密
にしとるよ、みんな。白だ?、
そんなのいるのかねぇ。」
ヒョイと顔を出してマイケルに
教えてくれる。
気がつけば、マイケルのブースに
何人かやってきて、
そのうちの1人、
片眼鏡に、髭の男が
「コーラルは、そりゃな観賞だけ
じゃねえよ。磨くとな、極上な
玉にもなる。このウーリュウ藩
島の、アンバー、パールに並ぶ
3大特産のジュエリーだぜぇ。
しかしよぉ、こんな骨みたい
なのがコーラルなのかぁ?
それこそ、お前さんの言う、
枯れ木じゃないのかねぇ。」
デスクから、1つ手に取って
くるくると見定める。
それを突然、
後ろから
獅子の鬣が 雄々しい
燃蒼色した瞳の
益荒男が取り上げた。
「初見の客、巡礼者か。
いい面構えだ。持ってきた物
全て出せ。レサ、これは白色
だが間違いない、コーラルだ。
コーラルが枯死したモノだと
俺の慧眼が言っている。」
手のモノを 強く擦りながら、
誰かの名前を呼び上げる。
「あなたが、ここの長?
ちゃんとみる目あるの?」
マイケルは、腕組みをして
ギルドの長ラジの燃蒼色した瞳を
見据える。
「案ずるな、俺の眼は絶対鑑定を
備えている。お前、コーラルを
知っているんだな?そっちの
小僧、マモか。担いでる枝も、
コーラルの枯死したものだろ」
ラジが呼んだ男は、おどおど
しながらラジの横に来る。
「マサバ、この白いやつを、
レッドコーラルみたいに研磨
しろ。この形のままでいいぞ」
ラジが一本白い小枝をマサバに
渡す。
マサバは目を閉じて、
それを手で包むと
上から下へと、撫でた。
マサバの手元が ほんのり光
収まると、手のモノを
ラジ達に見せる。
「おっ!!象牙みたいになった!
うおい。このテカリ、コーラル
だなあ!確かだぞ、おいラジ」
片眼鏡に髭の男レサが、
マサバの背中を
バンバン叩いて
デスクのモノを全部マサバに
同じようにさせる。
マイケルも、その工程に驚いた。
「え!!そんな簡単に
研磨しちゃうの?何、魔法?」
ヤバいな、異世界!!
ただ、目の前には
割にテロッと艶が出るモノ以外、
スがはいったような
スポンジ状に艶になる
モノもある。
「これは、レッドコーラルと
随分違ってムラがあるな。
枯死しているからか?女よ。」
ラジは燃蒼色した瞳を
マイケルに向けて
真意を問うように
スポンジ状に艶になったモノを
掲げた。
「生木と違って枯死したコーラル
が、土に落ちる間に、虫が食う
と中がスポンジになるけど、
それはそれで、レースコーラル
として、造形美になるの。」
それに、これが切り札じゃない
「白い珊瑚はあるの。他にも」
白珊瑚。
コラリウム・コーノジョイ。
日の本の昔、珊瑚網を
考え出した『トサ』の漁師、
幸之丞の名前がついた
ホワイトコーラル。
その枯れ木はまだ、前菜
なんだよ!!