ロート・ブルーメ~赤花~
「たまには、あたしが作りたいなって思って……」

「手料理、食わせてくれんの?」

「出来るならそうしたいんだけど……」

 言いながら、食材はどうすれば……と考える。


 この街にスーパーマーケットなんて庶民的なものはない。

 叔母さんはあまり料理をしないみたいで近くの店にデリバリーを頼んでいると言っていたし……。


「紅夜はこの食材をどうやって調達しているの?」

 街の外には出ないと言っていた紅夜。

 それなのに多少なりとも食材を保管しているなら調達方法があるはずだ。


「ん? 近くの店に卸してる業者から直接調達したり、赤黎会の連中に頼むこともあるかな?」

「うーん……それだとあたしが直接調達することは出来ないよね」

「じゃあ、来週は食材買ってから来いよ」

「え?」

「作ってくれる料理の材料買ってから街に来いよ。重くなりそうならシュウ貸すし」

「いや、愁一さんは貸し出しするようなものじゃ――じゃなくて」


 思わず突っ込んだけれど、言いたいことはそこじゃない。


「来週で、良いの?」

「ん?」

「会いに来るの、来週で良いの?」

 昨日の紅夜の様子を考えると、毎日でも来いって言われるかと思った。
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