ロート・ブルーメ~赤花~
「正確にはね、紅夜の母親がもらったものをあたしが作り直してもらって紅夜に渡したの。女性もののペンダントだったから、石だけバラして知り合いの宝飾店に頼んでね」

「そうなんだ」

 だから見てすぐに紅夜のものだって分かったんだね。


「それにしても、紅夜は本当にあなたが好きなのね。独占欲丸出しじゃない」

 いつもの調子を取り戻した叔母さんはそう言って笑う。

 身内に言われるとムズムズして恥ずかしい。


「やっぱり、そう見える……?」

 それでも確認したのは、その独占欲がちょっと嬉しかったからで……。

 周りから見てもそう見えるのか知りたかったから。


「見えるわね。でもあなたもそれでいいって思ってるなら問題ないでしょう?」

「う……」

 バレバレだった。


「でも本当に良かった。もしかしたら紅夜狼に無理やり食べられちゃったのかもって可能性もあったから」

 冗談めかして言う叔母さんに、あたしも笑う。


「フフッ……紅夜ね、あたしを赤ずきんに見立ててたのよ?」

「赤ずきん? 童話の?」

「そう。あたしが赤ずきんで、紅夜が狼」

「……ってことはあたしはおばあさん? それはちょっと抗議させてもらいたいところね」

 ムッとする叔母さんにまた少し笑ってしまう。
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