ロート・ブルーメ~赤花~
「確かにあたしはすぐに来ることをためらってたから、発破をかけるって意味もあったのかもしれないけど……でも交換の件があれば十分だったでしょう?」
なのにどうして賭けなんて言い出したのか。
そこまでした理由が分からなかった。
見上げると、目深にかぶったフードで陰になった青い瞳がいつもより濃く見える。
冷たいはずのその目に確かに温かなものを感じると、紅夜の手があたしの頬を撫でた。
そのまま軽くあたしの額に触れた唇が、静かに言葉をつむぐ。
「美桜には必要のない賭けだったけど、俺には必要だったんだ」
「え?」
「最後のストッパーだったんだよ。お前を俺から離してやるための」
紅夜から、あたしを離すため?
「俺からはもう離してなんかやれなかった。だから、美桜に選んで欲しかったんだ。このまま俺に囲い込まれるか、最低限の付き合いで終わるのか」
だから賭けという形にしたんだ、と。
あれは、あたしに与えた最後の選択肢だったんだと。
「……その割に、一昨日来なかった事不満に思ってたよね?」
聞くと苦笑いされた。
「それはまあ、来るだろうなと思ってたからな」
離すつもりなんてなかったのに、あたしに選択肢を与えた。
来るという確信があったのに、選んで欲しかった。
なのにどうして賭けなんて言い出したのか。
そこまでした理由が分からなかった。
見上げると、目深にかぶったフードで陰になった青い瞳がいつもより濃く見える。
冷たいはずのその目に確かに温かなものを感じると、紅夜の手があたしの頬を撫でた。
そのまま軽くあたしの額に触れた唇が、静かに言葉をつむぐ。
「美桜には必要のない賭けだったけど、俺には必要だったんだ」
「え?」
「最後のストッパーだったんだよ。お前を俺から離してやるための」
紅夜から、あたしを離すため?
「俺からはもう離してなんかやれなかった。だから、美桜に選んで欲しかったんだ。このまま俺に囲い込まれるか、最低限の付き合いで終わるのか」
だから賭けという形にしたんだ、と。
あれは、あたしに与えた最後の選択肢だったんだと。
「……その割に、一昨日来なかった事不満に思ってたよね?」
聞くと苦笑いされた。
「それはまあ、来るだろうなと思ってたからな」
離すつもりなんてなかったのに、あたしに選択肢を与えた。
来るという確信があったのに、選んで欲しかった。