ロート・ブルーメ~赤花~
***
休みも開けると、本来の日常が戻って来る。
紅夜と出会ってまだ一週間も経っていないというのに、あたしの心はあの街に置いて来てしまったんだろうか?
普段通りに過ごせていると思うけれど、心ここにあらずといった気分。
その乖離を戻してくれたのは、やっぱり事情を知る日葵だった。
「美桜、今日は放課後予定ある? ちょっとカラオケにでも行かない?」
「え? ……予定は特にないけど……」
それでも遊ぶ気分にはなれなくて断ろうとすると、日葵は自分の右手の薬指を指差す。
「ちょっと、話したいこともあるしさ」
その仕草でハッと気づく。
今は学校だからシルバーリングはつけていない。
でも持ち歩いてはいるし、紅夜に言われた通り学校が終わるとすぐにつけるようにしていた。
きっと日葵はあたしが学校を終えてからつけるのを見ていたんだろう。
そうだ、紅夜のこととか話さないと。
あたし自身も日葵に話すことがあることを思い出し、「うん、分かった」と返事をする。
でも、話を聞いていたらしいクラスメートが「なになに?」と入ってきた。
「カラオケ行くの? イイね! みんなで行かない?」
休みも開けると、本来の日常が戻って来る。
紅夜と出会ってまだ一週間も経っていないというのに、あたしの心はあの街に置いて来てしまったんだろうか?
普段通りに過ごせていると思うけれど、心ここにあらずといった気分。
その乖離を戻してくれたのは、やっぱり事情を知る日葵だった。
「美桜、今日は放課後予定ある? ちょっとカラオケにでも行かない?」
「え? ……予定は特にないけど……」
それでも遊ぶ気分にはなれなくて断ろうとすると、日葵は自分の右手の薬指を指差す。
「ちょっと、話したいこともあるしさ」
その仕草でハッと気づく。
今は学校だからシルバーリングはつけていない。
でも持ち歩いてはいるし、紅夜に言われた通り学校が終わるとすぐにつけるようにしていた。
きっと日葵はあたしが学校を終えてからつけるのを見ていたんだろう。
そうだ、紅夜のこととか話さないと。
あたし自身も日葵に話すことがあることを思い出し、「うん、分かった」と返事をする。
でも、話を聞いていたらしいクラスメートが「なになに?」と入ってきた。
「カラオケ行くの? イイね! みんなで行かない?」