ロート・ブルーメ~赤花~
 思っていたほどのリアクションがないから分かりづらいけど。

 これは驚き過ぎてリアクションに困るといった感じかも知れない。


「……でも、本当に大丈夫なの? あんな、怖い人の彼女になって」

 怖い人と言われてキョトンとしてしまう。


 そういえば日葵は紅夜のことを震えるほど怖がっていたっけ。

 あたしにはいじわるだけど、比較的優しくて甘いからすぐにはピンと来なかった。


「確かに怖い部分もある人だけど、ちゃんと彼女として扱ってくれるし……いじわるだけど優しいよ?」

 本人には優しくないなんて言ったけど、やっぱり甘くて優しいとも思う。

 それでもやっぱり初めに会ったときの印象が強いのか、日葵は「本当に?」と疑わしい目で見てくる。


「本当だよ」

 あたしを心配して言ってくれてるのは分かってたから、ちゃんと真っ直ぐ日葵の目を見返す。

 嘘も偽りも無いってことを分かってもらえるように。


 しばらくあたしの目を真剣に見ていた日葵は、フッと目の力をぬいた。

「分かった。正直ちょっと信じられない気持ちはあるけど、美桜を信じるよ」

「ん、ありがとう日葵」

 そうしてドリンクを飲んで一息つく。


 長々と話したので結構喉が渇いていたみたいで、一気に半分くらい飲んでしまった。
< 154 / 232 >

この作品をシェア

pagetop