ロート・ブルーメ~赤花~
「それでも、“私”がこの街を見捨てたわけじゃないことを示す必要があってね。念のため、時間のある時にこうして街を見張るようにしているんだ」
示す?
誰に?
慎重に聞かなきゃならないことだと思って、すぐには口に出来なかった。
そうしていると、今度は逆に質問をされる。
「その花のリボンは、紅夜から貰ったものなんだよね?」
「え? あ、はい」
黎華街に行くときには必ずつける赤いリボン。
紅夜の女である証の花の部分に触れながら答えた。
「それはね、私が紅夜に渡したんだ。紅夜にとっての太陽を見つけたら、渡すといいと言って」
「そう、なんですか?」
特にその辺りを疑問に思ったことはなかったけれど、渡すのならどちらかと言うと叔母さんの方かと思ったから普通に驚いた。
「ああ……。私にとっての紅夜の母がそうだったように、紅夜にもそんな相手が見つかると良いと思って……」
「……」
つまり、隆志さんは紅夜のお母さんのことが好きだったんだ……。
「……でも、まさかそのシルバーリングも渡してるとは思わなかったな」
と、あたしの右手を見ながら複雑そうな笑みを浮かべる。
「……確かこれは紅夜のお父さんのものだって……」
「らしいね」
幾分素っ気ない様子で隆志さんは答えた。
示す?
誰に?
慎重に聞かなきゃならないことだと思って、すぐには口に出来なかった。
そうしていると、今度は逆に質問をされる。
「その花のリボンは、紅夜から貰ったものなんだよね?」
「え? あ、はい」
黎華街に行くときには必ずつける赤いリボン。
紅夜の女である証の花の部分に触れながら答えた。
「それはね、私が紅夜に渡したんだ。紅夜にとっての太陽を見つけたら、渡すといいと言って」
「そう、なんですか?」
特にその辺りを疑問に思ったことはなかったけれど、渡すのならどちらかと言うと叔母さんの方かと思ったから普通に驚いた。
「ああ……。私にとっての紅夜の母がそうだったように、紅夜にもそんな相手が見つかると良いと思って……」
「……」
つまり、隆志さんは紅夜のお母さんのことが好きだったんだ……。
「……でも、まさかそのシルバーリングも渡してるとは思わなかったな」
と、あたしの右手を見ながら複雑そうな笑みを浮かべる。
「……確かこれは紅夜のお父さんのものだって……」
「らしいね」
幾分素っ気ない様子で隆志さんは答えた。