ロート・ブルーメ~赤花~
「あ、お金返しておくね」
感心しているあたしに日葵は財布を取り出した。
てっきりお釣りを返してくれるのかと思ったら、初めに渡した金額がそのまま返ってくる。
「え? 使わなかったの?」
と聞いたあたしに答えたのは日葵じゃなくて愁一さん。
「買い出し用の金なら初めから紅夜から貰ってる。あんたに払わせるようなことはすんなって言われてるから、気にすんな」
「紅夜が……?」
何そのスマート感。
愁一さんの言葉じゃないけど、紅夜ってそういうところが律儀って言うか……マメだよね。
そんな紅夜を思うと、胸の奥がキュッとなって嬉しくなる。
早く、紅夜に会いたい。
「ほら、行くぞ」
お金を財布に戻したのを見計らってそう言う愁一さん。
彼について行くようにして、あたしと日葵はまた黎華街に足を踏み入れた。
……。
…………。
街の中に入ると、会いたかった人が迎えに来てくれていた。
日もすっかり落ちて、遠くの空がかすかに赤紫色をしている時間だからかフードはかぶっていない。
街の灯りに照らされた金の髪がいつかのようにキラキラと輝いていた。
でも、その表情にはその時のような冷たさは感じられない。
あたしに向けられる目はどこまでも甘く優しかった。
感心しているあたしに日葵は財布を取り出した。
てっきりお釣りを返してくれるのかと思ったら、初めに渡した金額がそのまま返ってくる。
「え? 使わなかったの?」
と聞いたあたしに答えたのは日葵じゃなくて愁一さん。
「買い出し用の金なら初めから紅夜から貰ってる。あんたに払わせるようなことはすんなって言われてるから、気にすんな」
「紅夜が……?」
何そのスマート感。
愁一さんの言葉じゃないけど、紅夜ってそういうところが律儀って言うか……マメだよね。
そんな紅夜を思うと、胸の奥がキュッとなって嬉しくなる。
早く、紅夜に会いたい。
「ほら、行くぞ」
お金を財布に戻したのを見計らってそう言う愁一さん。
彼について行くようにして、あたしと日葵はまた黎華街に足を踏み入れた。
……。
…………。
街の中に入ると、会いたかった人が迎えに来てくれていた。
日もすっかり落ちて、遠くの空がかすかに赤紫色をしている時間だからかフードはかぶっていない。
街の灯りに照らされた金の髪がいつかのようにキラキラと輝いていた。
でも、その表情にはその時のような冷たさは感じられない。
あたしに向けられる目はどこまでも甘く優しかった。