ロート・ブルーメ~赤花~
四章
人質
途中で愁一さんとも別れたあたし達は二人で並び歩きながら黎華街を出た。
「日葵、もっと怯えると思ってたけど結構普通に歩いてたね?」
いくら日の高い午前中とはいえ、危険を孕んだ街だ。
前に日葵が街に来たときのことを思い返すと普通に歩けている方が不思議なくらいに思う。
「うん……やっぱり愁一兄さんがいるからかな? あの人がいる街だと思ったら、怖くはあるけどしっかりしなきゃって思えるの」
しっかりしないと会うことすら出来ないと思ってしまう、と。
少し分かる気がした。
あたしも紅夜がいるから、あの街を歩いていても以前より安心感を覚える。
紅夜という存在が、あたしにとって何らかの支えになっている気がした。
「……そうだね。ちょっと、分かる気がする」
そんな風にお互いに好きな人を想う。
似た者同士な親友と二人、危険だと言われている黎華街から出たこともあって、警戒心を解いて歩いていた。
警戒していても回避できたかは分からないけれど、油断していたのは確か。
じゃなきゃ、見覚えのある男が近付いて来るのをあたしが気づかないわけがなかったんだ。
「また会ったなぁ、お二人さん」
大柄な男が目の前に来たと思ったら、そう言葉を掛けられた。
「日葵、もっと怯えると思ってたけど結構普通に歩いてたね?」
いくら日の高い午前中とはいえ、危険を孕んだ街だ。
前に日葵が街に来たときのことを思い返すと普通に歩けている方が不思議なくらいに思う。
「うん……やっぱり愁一兄さんがいるからかな? あの人がいる街だと思ったら、怖くはあるけどしっかりしなきゃって思えるの」
しっかりしないと会うことすら出来ないと思ってしまう、と。
少し分かる気がした。
あたしも紅夜がいるから、あの街を歩いていても以前より安心感を覚える。
紅夜という存在が、あたしにとって何らかの支えになっている気がした。
「……そうだね。ちょっと、分かる気がする」
そんな風にお互いに好きな人を想う。
似た者同士な親友と二人、危険だと言われている黎華街から出たこともあって、警戒心を解いて歩いていた。
警戒していても回避できたかは分からないけれど、油断していたのは確か。
じゃなきゃ、見覚えのある男が近付いて来るのをあたしが気づかないわけがなかったんだ。
「また会ったなぁ、お二人さん」
大柄な男が目の前に来たと思ったら、そう言葉を掛けられた。