ロート・ブルーメ~赤花~
 恐ろしい事実にめまいがする。

 Kが嘘をついてるんだと思いたかった。


 でも、そんな嘘のためにここまでのことはしない。

 それに、明かされていない秘密の一つがそれだと、頭の奥で焼け付くようにチリチリと燃える熱が告げていた。


「おや、それは知らなかったのかな? まあでも後でたっぷり使ってあげますから、楽しみにしていると良いよ」

 楽しみになんて出来るわけがない。


 受け止めきれない事実にフラフラするけれど、そんなあたしを連れて彼らは黎華街へと向かう。

 黎華街の本質である、ロート・ブルーメのもとへ。


 ショックを受けたあたしだけれど、状況が悩む時間を与えてくれない。

 だから、一番大事なことだけを考える。


 紅夜はロート・ブルーメを薬だと言った。

 花の麻薬成分を知っていたとしても、そういう使い方をするつもりはなかったってこと。


 だから大丈夫。

 あたしは紅夜を信じられる。

 紅夜を信じていられれば、あたしの支えは揺るがないから。


 何とかそれだけは考えて、足のふらつきを抑えた。


 ぞろぞろと、黎華街の入り口をこじ開けるように進むKの一団。

 出入口に詰めていた赤黎会の人達が連絡を入れるためか散らばって行く。
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