ロート・ブルーメ~赤花~
「ひっ、あ……」
後退りするけれど、背後はエレベーターの扉。逃げ場はない。
「お前にはこの間してやられたからなぁ。それに、あの総長が戻ってきたときにボロボロのお前を見たときの顔を見るのが楽しみだ」
卑劣極まりない言葉。
ダメだ、紅夜にそんな思いさせられない。
諦めるわけにはいかなかった。
でも、頭が痛い。
痛みはどんどん強くなる。
どうやって逃げれば……。
考えがまとまらない。
そんなあたしに、二人の男は手を伸ばしてくる。
でも、その手があたしに届くことはなかった。
頭の痛みに目をつむっている間に、ドカッバキッと派手な音がして、愁一さんの声がした。
「おい! 無事か!?」
「え?」
薄っすら目を開けると、二人の男は地面に倒れ、赤黎会の人達がそいつらを縛り上げているところだった。
「日葵から連絡があってな……間に合ったか? 紅夜は?」
「……紅夜は、拘束されて……地下に……」
「っくそ! 間に合わなかったか」
悔し気な愁一さんは、どうにかして地下へ行けないかとぶつぶつ呟き始める。
でも、地下への道はこのエレベーターだけ。
しかも紅夜がいないと行けない。
お手上げだった。
…………いや。
本当に、地下への道はここだけ?
そんな疑問が脳裏を過ぎった瞬間、頭が割れるような激痛が走る。
「っあああぁぁあぁぁ!!」
そしてあたしは、全てを思い出した。
後退りするけれど、背後はエレベーターの扉。逃げ場はない。
「お前にはこの間してやられたからなぁ。それに、あの総長が戻ってきたときにボロボロのお前を見たときの顔を見るのが楽しみだ」
卑劣極まりない言葉。
ダメだ、紅夜にそんな思いさせられない。
諦めるわけにはいかなかった。
でも、頭が痛い。
痛みはどんどん強くなる。
どうやって逃げれば……。
考えがまとまらない。
そんなあたしに、二人の男は手を伸ばしてくる。
でも、その手があたしに届くことはなかった。
頭の痛みに目をつむっている間に、ドカッバキッと派手な音がして、愁一さんの声がした。
「おい! 無事か!?」
「え?」
薄っすら目を開けると、二人の男は地面に倒れ、赤黎会の人達がそいつらを縛り上げているところだった。
「日葵から連絡があってな……間に合ったか? 紅夜は?」
「……紅夜は、拘束されて……地下に……」
「っくそ! 間に合わなかったか」
悔し気な愁一さんは、どうにかして地下へ行けないかとぶつぶつ呟き始める。
でも、地下への道はこのエレベーターだけ。
しかも紅夜がいないと行けない。
お手上げだった。
…………いや。
本当に、地下への道はここだけ?
そんな疑問が脳裏を過ぎった瞬間、頭が割れるような激痛が走る。
「っあああぁぁあぁぁ!!」
そしてあたしは、全てを思い出した。