ロート・ブルーメ~赤花~
「そうなんだ……」

 渡された小瓶を見ながら感心するとともに、どうして今これを飲むのかが気になった。

 それは愁一さんも同じだったようで質問していた。


「でも何で今この中和剤を飲まなきゃならないんだ?」

「……計画通りに事が運んでいれば、きっと今あの花畑は火の海だからよ」

『え!?』

 あたしと愁一さんの声が重なる。


「火の海って!? 紅夜は無事なの? それに計画って?」

 思わずまくし立てたのはあたし。

 火の海なんて物騒な言葉を聞いたんだから仕方ないと思う。


「まずは地下に降りましょう。花畑までは少し歩くから」

 叔母さんはあたしの言葉には答えず地下への入り口を開けた。

 家の裏側の外壁としか思えない場所が扉のように開き、エレベーターの箱が現れる。


「さ、みんな乗って。中和剤も飲んでおいてね」

 そうして言われた通りにあたし達はエレベーターに乗り込み中和剤を飲んだ。


 ん? この味、やっぱり。

 栄養ドリンクに似ているけれど、どこかクセのある味。


「これ、紅夜に飲ませたのと同じもの?」

 思わず呟くと、「飲ませた?」と叔母さんに聞き返される。
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