ロート・ブルーメ~赤花~
「もともと近いうちに花は燃やす予定だったの。私達が必要なのは根だけだし、花はKのように麻薬として使おうとするような奴に狙われていたから」

 花は念のため二株ほど残して、他は燃やしてしまう計画だったのだと。


「ただ、大量の花を燃やすとなると地上にも影響が出てしまうかもしれないから、その辺りをどうするか考えていたところだったのよ。人は大丈夫な程度だとは思うけれど、敏感な動物とかは変に凶暴化してしまう危険もあったから……」

「そっか……」

 紅夜や叔母さんたちは、あの花を麻薬として使われない様にとちゃんと考えていたんだ。


「でも奴らが来てしまったなら計画を早めるしかないわ。燃やすための仕掛けだけは設置しておいたはずだから、きっと紅夜はそれを使っているはずよ」

「だから火の海ってことか。でも根まで燃えたりしないのか?」

 納得しつつ次の質問をする愁一さん。

 それに叔母さんは「大丈夫よ」と答えた。


「ある程度燃えたら空調を閉じて、酸素を減らして消火するつもりだから」

「って、それじゃあ中に人がいたら死んじまうじゃねぇか」

「そうよ。だからあなた達にはロート・ブルーメの花の煙でイっちゃってるK達を運び出してほしいの」

「それ、今言うのかよ。もっと早く言ってくれ、面倒くせぇ……」

 叔母さんの無茶ぶりに、愁一さん達赤黎会の一同は力なく項垂(うなだ)れた。
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