ロート・ブルーメ～赤花～
　K達も中和剤を飲まされて正気を取り戻したらしいけれど、彼らはいつの間にかいなくなってしまったんだそうだ。

　まあ、ロート・ブルーメがなくなってしまったからまたちょっかいを出してくることはないだろうっていうのが紅夜と叔母さんの見解(けんかい)らしい。


　あと、叔母さんの罪について……。


　叔母さんは隆志さんのことがずっと好きだったんだとか。

　それでも尊敬している先輩が相手だったから諦めようとしていたけれど、彼女は紅夜が産まれたと同時に亡くなってしまった。


　隆志さんは忙しいからと彼の子供を身ごもったことを伝えなかったり、愛する人との子供がお腹の中にいるのに無茶な研究をする紅夜の母親に少し不信感を抱いたという叔母さん。

　今思えば紅夜のお母さんの行動は寂しさの裏返しだったのかもしれないと言ったらしいけれど、当時は不満しか感じなかったとのこと。


　だから、隔世遺伝のせいか何らかの遺伝子疾患のせいか、色素が薄く生まれてきたこともあり紅夜は隆志さんの子供じゃないと嘘をついてしまったんだそうだ。

　何度も告白しようと思ったけれど、出来なくて。

　そうしている間に紅夜がロート・ブルーメを育てられる唯一の人物になってしまって、Kのような裏社会の人間に狙われ始めた。

　どんどんそれどころではなくなっていく状況に流されて今の今まで言えずにいたんだそうだ。
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