ロート・ブルーメ~赤花~
あたしのことも登録しないとな、とその話を聞いた時に紅夜に言われたっけ。
そうして二人だけである程度準備を終えると、紅夜に呼ばれてツリーのある所に行った。
「どうしたの? 何か足りない飾りでもあった?」
「いや……これ、返しておくな」
そう言った紅夜は、あたしの前髪を見覚えのあるヘアクリップで留めた。
「これ……」
お父さんから貰った、大事なヘアクリップ。
「で、こっちは返してもらうな」
そしてあたしの右手を取って、薬指から紅夜のシルバーリングを外された。
「……」
大事なものが返って来て嬉しいはずなのに、寂しく感じるのはどうしてか。
そんなの分かり切っていた。
お父さんから貰った大事なものより、それを交換していることで紅夜とのつながりを感じている方が大事になっていたからだ。
……お父さんには、悪いと思ったけれど。
でも確かに返してもらわないのは困る。
年末にはお父さんが帰ってくるのに、持っていないと何だかハラハラしちゃいそうだったから。
だから、寂しさを抑えて「ありがとう」とお礼を言った。
でも、紅夜の用事はそれだけじゃなかったみたい。
そうして二人だけである程度準備を終えると、紅夜に呼ばれてツリーのある所に行った。
「どうしたの? 何か足りない飾りでもあった?」
「いや……これ、返しておくな」
そう言った紅夜は、あたしの前髪を見覚えのあるヘアクリップで留めた。
「これ……」
お父さんから貰った、大事なヘアクリップ。
「で、こっちは返してもらうな」
そしてあたしの右手を取って、薬指から紅夜のシルバーリングを外された。
「……」
大事なものが返って来て嬉しいはずなのに、寂しく感じるのはどうしてか。
そんなの分かり切っていた。
お父さんから貰った大事なものより、それを交換していることで紅夜とのつながりを感じている方が大事になっていたからだ。
……お父さんには、悪いと思ったけれど。
でも確かに返してもらわないのは困る。
年末にはお父さんが帰ってくるのに、持っていないと何だかハラハラしちゃいそうだったから。
だから、寂しさを抑えて「ありがとう」とお礼を言った。
でも、紅夜の用事はそれだけじゃなかったみたい。