ロート・ブルーメ~赤花~
「それで……これは、俺からのクリスマスプレゼント」

 そう言って取り出したのは、小さ目な横長の箱。

 これは……。


 紅夜の綺麗な手がその箱を開けると、見えたのはペアリングだった。

 その女性用の方を取った紅夜は、あたしの右手の薬指にそのリングをはめてくれる。


「これ、シークレットストーンにしたんだ。美桜のには俺の誕生石のルビ―がついてる」

 それを聞いて、紅夜が彼の母親と同じ月に生まれたんだと知った。


「じゃあ紅夜のには……」

「ああ、美桜の誕生石のトパーズがついてる」

「あれ? あたし誕生日教えたっけ?」

 言った覚えがないのに合っていたからちょっと驚く。


「この間年聞いたとき、17になったばかりって言ってただろ? それなら11月生まれかなと思って。まあ、一応美玲にも確認したけど」

「そうなんだ」

 そんな些細な会話も覚えていてくれてたんだ。

 嬉しい……。


「俺にもつけてくれるか?」

 紅夜はそう言って自分の右手と指輪の箱を差し出す。


 要望通りに彼の右手の薬指にリングをはめる。

「何だか結婚式みたい」

 思わずそう言ったあたしに、紅夜は「ああ」と頷く。


「左手にしたいなとは思ったけど、それは本番のお楽しみにした方がいいかと思ってな」

 本番……。

 本番の、結婚式……。
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