ロート・ブルーメ~赤花~
 当たり前の様に語られた未来の話に、あたしは嬉しいと思った。

 でも今はまだ照れてしまう。

「そ、そうだね」

 同意の言葉を口にしたけれど、どうしても目は合わせられなかった。


 すると前触れもなくギュウッと抱き締められる。

「っ紅夜?」

「……っはぁ……照れてる美桜、可愛い」

 熱のこもった声に、あたしはさらに恥ずかしくなって照れてしまう。


「っ紅夜、叔母さんと隆志さん来ちゃうよ!?」

「別に見られたって良いだろ?」

「うっ……」

 確かにあたし達が付き合っていることは知られているから、見られて悪いわけじゃないけど……。


 いや、悪いでしょ。

 普通に恥ずかしいもの。


「紅夜、やっぱりあたしは恥ずかしいから……」

 そう言って腕を離してもらおうとしたけれど、紅夜は離してくれなかった。

 そしてそのままポツリと話しはじめる。


「……あのさ、美桜。俺最近一つ不満に思ってることがあるんだ」

「え?」

 不満と聞いて、なにか思い当たることはあったかな? と記憶をたどってみる。

 でもその記憶とは関係ないみたいだった。


「父さんと美玲が結婚したらさ、俺、お前のいとこになるんだよな?」

「……うん、そうだね」

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