ロート・ブルーメ~赤花~
「あたしにとっては危険なの?」

 さっきのお返しとばかりに質問で返してみると。


「それは、美桜次第だな」

 と答えられた。


 まさにその通りな言い返し方に歯噛(はが)みする。

 全然仕返しになっていない。


 ちょっと悔しい思いをしているうちにエレベーターは最上階について止まった。


 扉が開くと、少し離れたところに0から9までのボタン付きのドアがある。

 紅夜が迷いなくいくつかの数字を押すとカチャリと鍵の開く音がした。


 顔認証のエレベーターに、暗証番号の部屋のドア。

 厳重だな、と思ったけれど総長で支配人の彼ならこれくらいしないと安心して休めないのかも知れない。


「まずは風呂かな?」

 部屋に入ると、すぐにジャケットを脱いでそう言った紅夜。

 中に着ていたのはボルドーのシンプルなカットソーだった。


 やっぱり紅夜には赤系が似合うなぁなんて思いながら、あたしもベージュのダッフルコートを脱いだ。


 靴も脱いで中に入ると、中は広くてシンプルな部屋。

 奥の方にキッチンやバスルームへ続くと思われるドアがあった。


 とりあえずここがメインルームってことだろう。

 入ってすぐに結構大きなテレビとローテーブルがあり、その奥まったところにキングサイズのベッドがあった。
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