ロート・ブルーメ~赤花~
ベッドが目に入ると流石に緊張してきた。
もしかしなくても、あのベッドでこれから……?
そんな風に考えてしまう。
「なに? もうシたいの?」
「っ!!?」
あたしの視線がどこを向いているのかを目ざとく見つけた紅夜はからかってくる。
「なっ! ちがっ!」
赤くなって慌てるあたしの顎をすくい取った紅夜は、そのまま自然な流れでキスをした。
触れるだけのそれはすぐに離れて、青い瞳が試すようにあたしを見ている。
「俺はそれでもいいけど? どうする?」
あくまで、判断をあたしにゆだねようとしてくる。
「え、あぅ。えぇえ……?」
あたしは恥ずかしいのとファーストキスを奪われたのと、他のもろもろの感情の奔流によって答えられない。
完全に処理落ち状態だった。
「……っく!」
そんなあたしに紅夜は喉を鳴らすように笑う。
「あんたホント面白い。……まあまずは風呂とメシだろ? 最中にあの音鳴るとかは流石にな……っくっ」
思い出し笑い付きで告げられて、あたしは思考停止したくなるくらい恥ずかしくなる。
恥ずかしすぎてプルプル震えるあたしに紅夜は「まあ、待ってろよ」と告げて奥の方へと消えた。