ロート・ブルーメ~赤花~
黎華街は昼でも危険と言われる街。
この辺りの人なら誰でも知っているし、特に子供には絶対に近付くなと大人達は口を酸っぱくして言う。
あたしだって、どうしても届けなくちゃならないものだから月一で通っているけれど、あそこを歩くときは細心の注意を払っている。
叔母さんやお母さんの言う通り、大通りだけを歩き路地裏には一歩でも入ってはいけない。
寄り道をせず、真っ直ぐ叔母さんの家に行って真っ直ぐ帰ってくる。
それ以外のことはしてはいけない、と。
何度か通って慣れてきたとはいえ、その約束だけは必ず守っている。
そうしなければならないと、思わせる街だから。
そんな街に、日葵は行きたいと言う。
ハッキリ言って無謀だ。
だからいつもなら流されてしまうあたしだけど、今日ばかりは簡単には頷けない。
「ダメだよ。やめた方がいいよ」
「でも美桜は毎月行ってるでしょう?」
「それは……」
「ね、ちゃんと言うとおりにするから」
簡単には諦めてくれない日葵に困り果てる。
でも、簡単に諦めないってことは何か行きたい理由があるのかな?
「どうしてそんなに行きたいの? 何か理由があるの?」
「え……」
突っ込んで聞いたあたしに日葵は静かに驚いていた。
この辺りの人なら誰でも知っているし、特に子供には絶対に近付くなと大人達は口を酸っぱくして言う。
あたしだって、どうしても届けなくちゃならないものだから月一で通っているけれど、あそこを歩くときは細心の注意を払っている。
叔母さんやお母さんの言う通り、大通りだけを歩き路地裏には一歩でも入ってはいけない。
寄り道をせず、真っ直ぐ叔母さんの家に行って真っ直ぐ帰ってくる。
それ以外のことはしてはいけない、と。
何度か通って慣れてきたとはいえ、その約束だけは必ず守っている。
そうしなければならないと、思わせる街だから。
そんな街に、日葵は行きたいと言う。
ハッキリ言って無謀だ。
だからいつもなら流されてしまうあたしだけど、今日ばかりは簡単には頷けない。
「ダメだよ。やめた方がいいよ」
「でも美桜は毎月行ってるでしょう?」
「それは……」
「ね、ちゃんと言うとおりにするから」
簡単には諦めてくれない日葵に困り果てる。
でも、簡単に諦めないってことは何か行きたい理由があるのかな?
「どうしてそんなに行きたいの? 何か理由があるの?」
「え……」
突っ込んで聞いたあたしに日葵は静かに驚いていた。