ロート・ブルーメ~赤花~
「そこで聞き返すなよ……じゃあしようかって言いたくなるだろ?」
眉間にしわを寄せ、今度は鼻を噛まれる。
「いたっ」
「今から街を出るっていうやつが俺を誘惑した罰」
「ば、罰? 誘惑って」
そんなことしてないのに……。
「で? 本当にする? そうしたら街からは出られないと思った方が良いけど?」
やっぱりあたしに選択をゆだねる紅夜。
それでもいいけど、と誘うような眼差しに一瞬紅夜の意見を優先したくなる。
いつものように、相手の意見に合わせようとしてしまう。
でも、流石にそれはダメだ。
今日も学校だし、今街を出ないと。
それに、紅夜には人に合わせようとする弱い自分を見せたくないと思った。
昨日必死で日葵を助けて逃げ出そうとしたあたしの目を綺麗だと言った紅夜。
必死で強くあろうとしたあの瞬間のあたしを欲しいと言ってくれた人。
そんな紅夜に、卑屈な弱さは見せたくなかった。
「っ帰る。今街を出るよ」
だから、キッパリと言う。
「そうか、残念」
そう言った紅夜は、言葉ほどには残念がっていない笑みを浮かべていた。
眉間にしわを寄せ、今度は鼻を噛まれる。
「いたっ」
「今から街を出るっていうやつが俺を誘惑した罰」
「ば、罰? 誘惑って」
そんなことしてないのに……。
「で? 本当にする? そうしたら街からは出られないと思った方が良いけど?」
やっぱりあたしに選択をゆだねる紅夜。
それでもいいけど、と誘うような眼差しに一瞬紅夜の意見を優先したくなる。
いつものように、相手の意見に合わせようとしてしまう。
でも、流石にそれはダメだ。
今日も学校だし、今街を出ないと。
それに、紅夜には人に合わせようとする弱い自分を見せたくないと思った。
昨日必死で日葵を助けて逃げ出そうとしたあたしの目を綺麗だと言った紅夜。
必死で強くあろうとしたあの瞬間のあたしを欲しいと言ってくれた人。
そんな紅夜に、卑屈な弱さは見せたくなかった。
「っ帰る。今街を出るよ」
だから、キッパリと言う。
「そうか、残念」
そう言った紅夜は、言葉ほどには残念がっていない笑みを浮かべていた。