ロート・ブルーメ~赤花~
「うん、愁一兄さんはちゃんと家まで送ってくれたよ」
もう街には来るなと言われたけれど、どうしてもまた会いたいと言ったらあたしが持っていたものと同じリボンをくれたんだそうだ。
「事前に連絡を入れることと、このリボンをつけることが条件だけど……また会ってくれるって約束してもらえたの」
そう言って嬉しそうに顔をほころばせる日葵は完全に恋する乙女だった。
やっぱり日葵の好きな人って愁一さんだったみたい。
「美桜のおかげだよ。ありがとう」
笑顔でお礼を言う日葵に「どういたしまして」とあたしも笑顔で返すと、次の瞬間には日葵の表情が沈んだ。
え? どうしたの?
「美桜、ごめんね」
驚くあたしに日葵は先に謝って来る。
「あのヘアクリップ、大事なものだって言ってたのに……」
「あ……」
お父さんから貰った、お守り代わりの赤い花があしらわれたヘアクリップ。
大事なものだから、考えない様にしていた。
だって、きっともう手元には戻ってこないだろうから……。
「仕方ないよ。気にしないで?」
日葵のせいじゃない。
日葵に貸すと決めたのはあたしだし、失くしたのだって悪いのはあの男達だ。
もう街には来るなと言われたけれど、どうしてもまた会いたいと言ったらあたしが持っていたものと同じリボンをくれたんだそうだ。
「事前に連絡を入れることと、このリボンをつけることが条件だけど……また会ってくれるって約束してもらえたの」
そう言って嬉しそうに顔をほころばせる日葵は完全に恋する乙女だった。
やっぱり日葵の好きな人って愁一さんだったみたい。
「美桜のおかげだよ。ありがとう」
笑顔でお礼を言う日葵に「どういたしまして」とあたしも笑顔で返すと、次の瞬間には日葵の表情が沈んだ。
え? どうしたの?
「美桜、ごめんね」
驚くあたしに日葵は先に謝って来る。
「あのヘアクリップ、大事なものだって言ってたのに……」
「あ……」
お父さんから貰った、お守り代わりの赤い花があしらわれたヘアクリップ。
大事なものだから、考えない様にしていた。
だって、きっともう手元には戻ってこないだろうから……。
「仕方ないよ。気にしないで?」
日葵のせいじゃない。
日葵に貸すと決めたのはあたしだし、失くしたのだって悪いのはあの男達だ。