ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
ソファーに寝転がり、クッションを抱きしめた。
クッションを取り上げられた。

「抱きしめるもの、違うだろ」

直真さんがどさりと倒れこんできた。
人形みたいに綺麗な顔。
それに高そうな香水の香りがする。
すっきりとした―――なんの香りだろう。
その体を抱きしめたけれど、なんとなく気になって聞いてみた。

「直真さん。この部屋に女の人、連れ込んだことあるんですか」

「ない」

即答だった。

「弟に付き合っている女を見られたくない」

でたよ、弟至上主義(ブラコン)。

「じゃあ、なんでバーがあるんですか」

「ただの趣味だ」

「私のゲーム機みたいなものですね」

無言。
なかなか直真さんから言葉が返ってこなかった。

「いや、ちがうだろ!?」

起き上がり、直真さんは強く否定した。

「もしかして、バーがあるから、女を連れ込んで口説いていたとでも思っていたのか?玄関先で!?」

「普通思いますよ」
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