ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「連れ込んでいない。だいたい、遊ぶ時は女の部屋でって、なんだその顔」

「いえ、目を逸らさない時は嘘ついている時だって教えてもらったので」

「いらないことだけ、覚えるな。お前は」

「任せて下さい。ボスの攻撃パターンを覚えるの得意なんです」

ドヤ顔で言うと、直真さんは額に手をあてた。

「そうだな。なにか作ってやろうか?」

シャツを腕まくりして、立ち上がった。

「なにがいい?」

「じゃあ、コーラで」

「お前、コーラ大好きすぎるだろ!」

そう言いながら、冷蔵庫からコーラとレモンを出してきた。
手慣れた様子で氷をいれて、お酒をいれ、コーラをそそぎ、スライスしたレモンを沈めた。

「どうぞ」

「ありがとうございます」

なんとなく、かしこまった気分で頂いた。

「おいしいです、甘くて。レモンがいいですね」

「お前はテレビのグルメコメンテーターか」

直真さんは笑っていたけど、褒められて嬉しそうだった。
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