ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「明日の休みはどこか行きたいとこあるか?」

「実家近くの中華料理屋に行きたいです」

「なんだそれ?」

「ラーメンと餃子が食べたい……」

「お前、本当に金持ち生活ができないな」

うるさいわっ。
庶民生活最高だよ!
けれど、コーラのカクテルはシュワシュワしていて甘くて、こういうのも悪くない―――

「カクテルの味見します?」

ぐいっとネクタイを掴んで、口づけた。

「お前、俺を襲うとか、とんでもない女だな」

「いいじゃないですか。たまには」

「言っておくが、こういうことを許しているのはお前だけだからな」

「知っています」

直真さんの顔を両手で包みこんだ。
そう、私は知っている―――きっと今までの女の人で直真さんを困らせることができるのも振り回すことができるのも。
私だけだってこと。
悪い顔をして笑うと、カクテルが空になるまで、コーラ味のキスを存分に味わったのだった。
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