ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「まあ!私の息子が変な女に引っかかってもいいってことかしら!?」

「公私の区別はつけていただきたい、ということです」

直真さんは表情を変えてないけど、腹の中では『面倒な奴らだな』と思っているのは間違いない。
私も何か力になってあげたいけど。
無力だからなー。

「はい!お茶、どうぞー」

どんっと、コップになみなみと入った氷入りのコーラを置いた。
三人は沈黙した。
お茶じゃねえ!と直真さんが目で訴えかけていた。

「素敵な奥様をお持ちね。直真さん」

「ええ。まあ」

「酒屋の娘さんだとか」

直真さんの目が一瞬、険しくなったけれど、私はにっこりほほ笑み返した。
私は売られたケンカは買うわよ!
昔の血が騒ぐわ。

「その酒屋の親に育てられましたけど、親に今、感謝しましたね」

「酒屋なのに?」

くすっと聖子さんが笑う。
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