ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「直真君!君の嫁はなんなんだ!私を脅す気か!」

「どうしますか?」

ずいっとスマホを前に出した。

「……海外支店に行かせて頂きます」

これ、印籠(いんろう)かなにか?
あまりの効果の絶大さに鯉の画像を何度も見直してしまった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「俺は今日ほど、お前を怖いと思ったことはない」

真剣な顔で言われた。

「えー!?」

「ジジイの番号を消せ!今すぐに!」

「嫌ですよ。直真さんが浮気した時のためにとっておきます」

「しないから消せ!」

「どうだか」

じろーと横目で見た。
この顔である。
何人言い寄っていることやら。
がしがしと頭をかきながら、直真さんは諦めたのか、テーブルにパソコンを出し、仕事をするようだった。

「仕事ですか?」

「お前のプレイしているゲームにハッキングしてゲームキャラを消してやる」

「やめてください!!!どこまで悪どいんですか!離婚案件ですよ!!!」
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