ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「言います!言いますからっ!色気に訴えないで下さいよ!今日の午後、マンションにお住まいの奥様達が来たんですよ。それでありがたいお話を聞いて疲れたなーと思って死体になっていました」

「なるほどな」

わかった、と直真さんは髪をかきあげた。
ため息を吐き、どさっとソファーに腰かけた。
ううっ!呆れられた。
きっと『あれくらい受け流せないのか?』とか、思われているに違いない。
わかってる。
撃退すればいいことくらい。
ただ今までの生活と勝手が違いすぎて、まだ調子がでない。
どんなかんじに付き合っていけばいいかも―――

「有里。お前は俺と結婚するんだからな」

直真さんの目はテーブルの上の結婚雑誌を 見つめていた。
『まだ選んでないのか』って思ってる?

「遠慮せず、なんでも言えよ。お前のそういうところが俺はいいと思っているんだからな」

「遠慮せず言ったら、直真さんは引きますよ」

< 126 / 135 >

この作品をシェア

pagetop