ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「これを全部読め」

「はあ?」

ファイルを開くと宮ノ入で働く人達やその家族についての調査結果だった。

「な!?」

浮気から子供の悩みまで細部に渡って調べ尽くされている。
パンッと思わず、ファイルを閉じた。
人として最後の良心を悪魔に売り渡してはいけないと思ったからだ。

「弱みを握れ。そして叩き潰せ」

「いやいやいやいや!?どんだけ悪どいんですか?」

「なに言ってるんだ?自己防衛だ、自己防衛」

ほら、とファイルを開いた。

「各個撃破でいけよ」

なんですか、そのアドバイス。
直真さんはにっこりと微笑んだ。
まるで悪魔のようにきれいな顔で。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


湾岸沿いにそびえ立つ宮ノ入グループのマンションに入ると、エントランスが広がり、くつろげるスペースがある。
大抵、奥様達はここでカモがやってくるのをまっている。
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