ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
この先には。
社長っていうボスがね!
あー、うまいこと言ったー。
沖重の社員に混じり、エレベーター前にいるとわらわらと女子社員が集まり出した。
何が始まるんだろうと見ていると、正面入り口から、さらさらの髪に爽やかな笑顔の八木沢(やぎさわ)社長が入ってきた。
特殊能力に魅了を持っているんじゃないかってくらい、キラキラオーラ全開だった。

「皆さん、おはようございます」

「社長、おはようございますっ」

「おはようございますぅ」

大名行列かってくらい女子社員が八木沢社長の周りについて回る。

「あれ?新しい秘書?美桜(みお)さんが紹介してくれた」

美桜さんとは秘書の仕事の話を持ってきた先輩の名前だった。

「は、はい。そうです」

「そうか。それじゃあ、一緒に社長室に行きますか」

ぞくっと背筋が寒くなった。
女子社員の視線が痛い。
これ、生きて帰れるの?

「それじゃあね」
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