ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
八木沢社長がひらひらと手を振ると黄色い声が上がる。
社長からアイドルにでも転職したのかと思うほどだ。
噂通り恐ろしくモテるなぁ。
ぱたん、とエレベーターの扉が閉まると社長はため息を吐いた。
やっと静かになった。

「名前はなんていうのかな?」

「あ、はい!木村有里です!」

「そうか。有里さん、これからよろしくお願いしますね」

有里さん!?
ナチュラルに名前呼びとか。
この人、女の扱いになれてるタイプだな……。

「よろしくお願いします」

社長室フロアは静かで人の気配がない。
宮ノ入(みやのいり)の社長室フロアと似ていた。

「秘書室は自由に使ってもらって構わないから。さっそくで悪いけど、午後から使う会議資料を揃えてもらえるかな。今日の分はたのんであるから、とりに行ってくれるだけで大丈夫だよ」

「はい!」

社長は忙しそうに社長室に入って行った。
メモ書きで何部必要かなど、書いてある。
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