ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「どーも、ありがとございましたー。これから資料はメールで秘書室に全て送ってください」

そっちのほうが、いちいち確認しなくていいから楽だわ。

「は、はい」

しまった!
効率厨(こうりつちゅう)とか思われたかな?
まあ、いいや。その通りだし。
営業一課から出て、秘書室に戻るとすぐにコピーした。
ホッチキスを構えて、にやりとした。
パチパチパチパチ
連続して止めていく。
ふう。完璧。
今、私は特殊能力ホッチキス高速技を使ったわ。

「有里さん。資料、明日の分まで揃えてくれたんですね」

「会議の前に確認していただこうかと思いまして」

「ありがとう」

八木沢社長は爽やかに微笑んだ。
いえいえ。

「これ、沖重グループと取引のある方の細かい情報だから、全部覚えてもらえますか?」

「はい」  

ずしっとしたファイルを渡された。
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