ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
商店街の中にある小さな酒屋だけど、観光客相手にそこそこ儲かっている。

「有里っ!飲んだペットボトルは分別しろって言っただろっっ!それから、布団の上でポテチ食うな。シーツ洗うからな。弁当、包んであるから忘れんな!」

「はい、すみません」  

―――本当にできた弟だ。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


まあ、家ではぐうたらな姉ですが。
会社は違うわよ!?
ふっ。 
見てよ。
ネトゲで鍛えた華麗なブラインドタッチ。
このスピードをもってすれば、会議資料なんぞチョロいもんよ!って自慢にならないか。

「有里せんぱーい」

若菜(わかな)ちゃん。どうしたの」

営業一課のアイドル的存在の後輩が私の元へやってきた。
若菜ちゃんは社内で一番可愛いと評判なだけあり、まつげをバッチリあげて、マスカラをつけて、濡れたような目をパチパチさせていた。
ネイルまで完璧で、ピンクにきらきらのビジューをつけている。
それ邪魔じゃないの?
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