ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「木村さん。おはようございます」 

「おはようございます?」

女子社員はいつもは私を無視なのにどうしたんだろう。
しかも、なんか怯えてる?
エレベーターまで行くと、同じく宮ノ入(みやのいり)から出向中の人事部長がいた。
50代前半で落ち着いた雰囲気の人だった。

「木村さん。さすが、宮ノ入社長の奥様と仲がいいだけありますね」

「はい!?」

「金曜日の夜に八木沢(やぎさわ)社長から直々に電話があって、受付を全員入れ替えろっと言われまして。いやあ。あの八木沢社長を動かせるのは宮ノ入の社長くらいですよ」

「そんなこと頼んでないですよ!?」

「ははは。いいんですよ。そんな、隠さなくても」

部長は笑いながら、エレベーターから降りていった。
どういうことよ。
悶々(もんもん)としながら、誕生日のメッセージを作成した。
今はおめでとうなんて、書くような気分になれなかった。
受付の子達はどこに配属になったのか。
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