ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
ベッドから起き上がり、目の前に行くと、びくっと体を震わせた。

「ま、待った!」

「なに?」

なにを言い出すか、興味があった。

「私は社長が思うような人間じゃないんですよ!堕落しきったとんでもないヤツですから!」

堕落?
どうみても堕落しきったようには見えない。

「断るにしても、もっとマシな言い訳を―――」

「正直、付き合うより、ネトゲしていたいんですよ!!」

「はあ?」 

ネトゲ!?
バッとスマホを見せた。

「これが、私が大切に育てたキャラです。もうね。我が子同然ですよ。見てください。このレアアイテムの数々!この達成感と充実感がわかります?」

「わからないな」

正直、わかりたくもない。

「そうでしょ!だから、社長じゃ、ダメなんです!」

「待て。俺はそのゲームに負けたってことか?」

「言うなれば、そういうことです」

得意顔で頷いた。

「お前っ!いいか、冷静に考えろ!」
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