ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
危険な古巣
「社長」 

直真(なおさだ)さん、もしくは直真と呼ぶように。二人の時はそうしろと言ったよな?」

社長―――直真さんと私は今、勝負をしている。
私が直真さんを好きになれば、私の負け。 
直真さんが諦めたら、私の勝ち。
勝てば自由に有給をとらせてくれる。
有給最高!

「爽やかな直真さんはどこに行ったんですか?」 

「あっちのほうが、好みなのか?」

「いや、どっちでも構いませんけど。好みとか考えたことないので」

「そうだろうな」

な、なんか、バカにされた気が。
勢い余って、ネトゲをカミングアウトしちゃったけど。
返ってきた反応が意外と普通で拍子抜けした。
わかってないのかもね。
この闇の深さが。
コーヒーを置き、出ていこうとすると言った。

「午後から、取引先に行くぞ」

「あ、はい。どちらまで?」

宮ノ入(みやのいり)本社だ。瑞生様に売り上げと今後の展望について報告する」

「わかりました」

弟さんなのに様付けなのね。
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