ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
若菜ちゃんはグイッと髪を掴み、他の子が口を手で塞ぎ、腹を殴った。

「っ!」

痛みで涙が出そうになった。

「木村さん!貴方達、なにをしているの!」

誰かが先輩を呼びに言ったらしく、先輩が飛び込んできた。

「大丈夫?木村さん」

「は、はい」

「私達、木村さんとお喋りしていただけなのにひどいです」

「ねえ」

「何がお喋りしてた、だ」

入り口に冷ややかな目をした直真さんがいた。
ヤクザかな?というくらいの威圧感がある。

「一部始終、カメラに残してあるからな」

会議室に監視カメラがあった。
まるで、準備されていたかのように―――いや、準備されていたのかもしれない。
こうなることを全て見通していた。
決定的に相手を会社から、追い出すためにこんなことをしたんじゃ―――直真さんの笑顔がそれを肯定している気がした。
腹を殴られたせいか、ふらふらと目眩がして意識を失い、床に倒れてしまった。


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