ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
困ったように直真さんは首をかしげた。
お前のためにやったことだろうという顔。
誰も頼んでないんですよっ!!

「自分ばっかりっ!正しいと思わないでくださいよ!大嫌いです!絶交ですからねっ!」

ブチギレた私に呆気をとられている間に服を着て、部屋から出ていった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


泣きながら、帰ってきたせいで、兄と弟は驚いていたけれど、なにも言わずにいるのを遠巻きに眺めていた。
親は商店街のツアー旅行でいなかった。

「もう休もう…」

精神的にも肉体的にも限界だった。
正直、疲れ切っていて眠ってしまいたい。
お風呂に入ると、胸と殴られた腹の辺りに赤い痕が残っていた。
最悪だ。
それとは別に胸と首筋に赤い花のような痕が残り―――思い出すと、顔が赤らんだ。
あの鋭い目に反して、優しい指の感触がまだ残っている気がした。

「もー!!」

ザブッとお湯に潜った。
なんて危険な男なんだろう。
お風呂からあがると、圭吾(けいご)兄ちゃんが心配そうに聞いてきた。
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