ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
秘書室をノックすると先輩がお茶の用意をしてくれていた。
紅茶のティーカップがマイセンとは。これいかに。
さすが、お金持ち。

「木村さん、わざわざ来てもらってありがとう」

「そんな、いいですよ。話ってなんですか?」

「宮ノ入の社長秘書だった八木沢(やぎさわ)直真(なおさだ)さんが、子会社となった沖重グループに出向という形で、社長になったのは知っていると思うのだけど」

「そうですね。なかなかの手腕で業績も大分回復したとか」

「ええ。ただ仕事量が多くて、大変みたいなの。それで雑務をこなしてくれる秘書を探していて……その、詳しい理由はわからないけれど、秘書の子が何人も辞めてしまって」

「困りましたね」

「そうなの。できれば、木村さんに八木沢さんの秘書として、出向してもらえないかしら」

「えっ!?」

あの八木沢さんの秘書!?
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