ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
有里(ゆり)、なにかあったのか?」

「ないよ」

「いーや!あったな。兄ちゃんに言ってみろ!」

「平気だよ。もう、寝る。おやすみ」

「有里!」 

「マジかよ。有里がゲームしないなんて」

伊吹(いぶき)まで驚いていた。
今日はもう何もできそうになかった。


◇ ◇ ◇ ◇ ◇


朝になり、人事部長に休みの電話をいれた。
今日は会社に行きたくなかった。というか、直真さんの顔を見たくなかった。

「有里。ずる休みか」

布団を頭からかぶり、動かない私に伊吹が言った。

「違う、心の休暇だ」

黒のゲームコントローラーを握って言った。

「いいけどさ。なにがあったか、話してみ」

伊吹が優しく言ってくれたけど。
バカか!言えるかっっ!と、喉元まで出かかった。

「なにもない」

「いや、あったな。今、操作に遅れがあったし、キャラが壁にぶつかって動けてなかったろ」
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