ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
社長のお迎え

「迎えに来てやったぞ」
朝の挨拶にしては爽やかさゼロ。むしろ、マイナス。
あの爽やかイケメンとして定評のある八木沢(やぎさわ)社長はどこへいった?
目の前にいるのは不遜(ふそん)を絵にかいたような男。

「よ、よくも!そんな上から目線で!だいたい、どの面下げて来たんですか?絶交ですって言ったじゃないですか!」

「絶交って。有里(ゆり)。そんな子供みたいなこと言ったのか」

伊吹(いぶき)が呆れている。

「悪いやつだよ!どうして家にあげたの?!」

「みればわかる」

うん、と伊吹はうなずいた。

圭吾(けいご)兄ちゃん、やっつけてよ!」

「俺はゾンビか化け物かよ」

不満げに直真(なおさだ)さんが言ってきたので、はっきりいってやった。

「まだゾンビか化け物の方が可愛げがありますよっっ!!」

「待て。有里。この顔、どっかでみたことあるんだよな」

グラサンを外し、じっと見詰めると圭吾兄ちゃんが叫んだ。

「総長!」

「久しぶりに呼ばれたな」

「総長じゃないよー!社長だってばー!」

「やべえ!」

バッと圭吾兄ちゃんが身構えた。

「有里、こいつ、素人じゃねーぞ!ヤクザみたいなもんだ!」

はあ?ヤクザ!?

「いや、今は足を洗ったから、一般人だ。圭吾くん。それで、君はどこの関係者かな」
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