ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「それにですね。総長。有里は今でこそ、こんな落ち着いていますが」

圭吾兄ちゃんは自分のスマホを取り出して、画像をかざした。

「昔はこんな荒れてたんっすよ」

黒髪だが、バイクに乗り、ピアスをつけ、濃いめの化粧をした高校時代の私の姿が映し出されていた。
「俺の過去だって、褒めれたもんじゃないだろ」

「そうっすね」

「ちょっとは動じてよ!?」

なにあっさり受け入れてんだよっ!

「なかなか、いい面構えだな」

「どういう感想よ!」

「荒れていた姉にネトゲをやらせたら、ハマって。それから、こんなかんじになりました」

「どっちがよかったんだろうな」

「むずかしいっすねぇ」

「ネトゲが私を非行の道から救ってくれたんですよ」

「そこから堕落の道に入ってどうする」

「まあ、そうなんですけどね」

えへ、と笑って見せた。

「その堕落の道からさっさと出ろ。会社に行くぞ」
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