ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
「お付き合いしましょう」

だから、この仕事量だったのか……。
最初に言ってくれれば、いいのに。
帰る用意をして、駐車場に行くと、すでに運転手さんが待機しているらしく、車が止まっていた。

「何食べたいんだ?」

「お寿司です。回らないやつ」

「お前、ちょっとの遠慮もないな」

がちゃ、とドアが自動で開き、車に乗ると、誰かが乗っていて、その人影がナイフを突きつけた。

「久しぶりね、直真」

きつい香水の匂いがした。
後部座席に女の人が乗っていた。

「物騒な挨拶だな」

よく見ると、運転手さんが違う。

「もちろん、一緒に来てくれるわよね?」

私の顔にナイフを突きつけたまま、言った。

「ああ」

諦めたように車に乗った。

「悪いな。有里」

「どさくさに紛れて呼び捨てにしないでください」

「いいだろ。別に」

怖いくらいに冷静過ぎる。
この人、どれだけ場数踏んでるんだろう。
それにしても―――元恋人っぽい。圭吾兄ちゃんが言っていた女の人のタイプによく似ていた。
はあ……。
だから言ったでしょ!!
恨まれすぎなんだってば!もうー!
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