ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
売られたケンカ
連れてこられたのは、使ってない事務所の二階らしく、段ボールが山積みになり、机や椅子が乱雑に置かれていた。
港とかじゃなくてよかった。
マジで。
両手両足をガムテープでぐるぐる巻きに縛られて、私の方は乱暴に転がされた。
ちょっとー!
扱いに差がない!?
美人でセクシーな女の人が直真さんの前に立つと、愛おし気に顔をなでた。
「相変わらず、綺麗な顔」
直真さんの冷ややかな目に女の人は怯み、身を引いた。
目で殺していくね……直真さんは。
悔しそうに唇をかみしめると、その女の人は外へ続くドアを開いて中に男の人を招きいれた。
「直真、この人に見おぼえないかしら?」
眼鏡をかけ、神経質そうな顔をした男の人だった。
「誰だ?」
「沖重の親戚の一臣だ!忘れるな!」