ネトゲ女子は社長の求愛を拒む
私の大事なゲームデータちゃん達が無事で。

「はい、直真さんのもどうぞ」

「なにが、どうぞ、だ!どけ!」

「嫌ですよ」

にらみ合った。

「…ほうが」

「え?」

「あなたみたいなお子様な方が、足枷になって直真にはちょうどいいわね」

褒められてるの?それは。

「行きましょ、一臣さん」

「あ、ああ」

二人は急ぎ足で逃げて行った。

「くそ!」

入り口をふさいだまま、動かない私を殴りとばすわけにもいかないようで、イライラと手を振り下ろした。
その手をそっと握った。

「武士の情けってやつですよ。勉強になったでしょう?これで、あの二人は仕返しにはこないと思いますよ」

多分ね。

「なんだ、その上から目線は」

「いいじゃないですか」

「お前、本当になにを考えてるかわらないな」

そう言って、直真さんは苛立ちながらも微かに笑った。

「まあ、怪我がなくてよかった」

直真さんは私の顔を撫でて、自然な流れで唇を重ねた。
私が身構える前に―――

「…っ!?」
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